Sol5を使った配付資料作成

(1)アウトラインプロセッサと配付資料作成

アウトラインプロセッサを使って配付資料を作成するとき、通常は、アウトラインプロセッサで素原稿を作成し、それをコピーして、Wordなどのワードプロセッサに貼り付けて、体裁を整えて、配付資料として保存するのが普通だろうと思います。

Sol5の場合も本格的な資料については同様でしょうが、簡単なものであれば、Sol5だけで最終原稿まで作ることができます。そのとき、問題となるのは、以下の2点でしょう。

    1.  Sol5の印刷結果にはページ番号が付かない。
    2.  Sol5利用者は少ないので、Sol5書類をメール等の添付資料として他の人に配付できない。

この2つの問題を解決する方法としてご提案しましたのが、先の記事「ページ番号付PDF書類の作成」です。ここでご紹介しました Bullzip PDF Printer は、優れたソフトであるにもかかわらず、個人や小企業であれば無償で使用できるもので、無条件にお勧めすることができます。

しかし、私自身は別のソフトを利用しています。それはFinePrintとpdfFactory Proというプリンタ・ドライバの組み合わせです。これらはいずれもNSDという日本の会社の製品です。やや高額なソフトですので、Solのためだけではあまりお勧めできませんが、コンパクトな配付資料を作成する機会が多い方には推奨できるものです。

本稿ではこのFinePrintとpdfFactory Proを使ったページ番号付与とPDF資料作成方法をご説明します。なお、最近はこれらに似た有償ソフトがいくつか登場しているようです。もしそれらをお使いの方がいらっしゃいましたら、当サイトの会議室でご紹介いただけるとありがたいです。

(2)FinePrintとpdfFactory Proのインストール

FinePrintとpdfFactory Proは、以下のNSD社のホームページから無償評価版をダウンロードできま

https://www.products.nsd.co.jp/service/fineprint/download/

ダウンロードしたファイルをダブルクリックすればインストールできます。無償評価版は後でベクターや楽天のサイトでライセンスを購入すれば、正規版に移行できます。

FinePrintは、印刷前に印刷内容を確認して不要ページを削除したり、複数ページを用紙1枚に印刷したりできるプリンタ・ドライバです。

pdfFactoryはBullzip PDF Printerと同様のPDFファイルを作成するプリンタ・ドライバです。FinePrintと組み合わせることで、多彩なPDF文書を作成することができます。そのProバージョンであるpdfFactory Proには、「しおり」と呼ばれるPDF書類の「目次」を自動生成する機能が付け加わっています。

(3)FinePrintを使った多彩な配付資料印刷

FinePrintはプリンタ・ドライバ・ソフトですので、印刷時のプリンタ選択で「FinePrint」を選び、印刷指示を出すことで起動されます。起動すると図1のようなダイアログが表示されます。

図1 FinePrintのダイアログ

(注)私が使用している正規版のFinePrintはかなり以前のもので、ユーザインタフェースが最新版と異なっています。そこでここでは試用版を使って画面イメージを撮っています。

図1ではサンプルとして「2ページ」を選んでいて、2ページ分を用紙1枚に印刷する場合を表示しています。通常はその上の「バイパス」が選ばれていて、印刷アイコンをクリックすることで、普段通りの印刷ができます。

FinePrintでは、図1にあるように、1, 2, 4, 8ページを1枚に印刷したり、小冊子形式で印刷したりできます。「両面」をチェックすれば、両面印刷機能を持たないプリンタでも、用紙の差し替えを使って両面印刷ができます。また、ステーショナリーを定義して「透かし」などを付け加えることができます。

(4)FinePrintを使ったページ番号の追加

FinePrintではページ番号追加をステーショナリの1つとして定義します。図1のダイアログのタスクバー左端にある「三」ボタン(設定ボタン)をクリックして表示されるメニューで「ステーショナリ」を選ぶと、図2のステーショナリ・ダイアログが開きます。

図2 FinePrintでのページ番号ステーショナリの定義

ここで先頭にある「ページ#」を選び、場所として「フッター」を選び、入力欄に「<Center><Page>」を入力して、「OK」ボタンを押せば、各ページの下方中央にページ番号が表示される「ページ#」ステーショナリが定義されます。

ページ総数も表示したいときは、入力欄に「<Center><Page> / <TotalPages>」と入力します。このような入力可能な記号は、入力欄の右の「挿入(K)…」ボタンを押せば表示されます。

(5)FinePrintを使った印刷とPDF作成

ページ番号付で文書を印刷するときは、図1のようなFinePrintダイアログで、構成「1ページ」を選び、ステーショナリをチェックし、ステイショナリの種類として「ページ#」を選んで、タスクバーの印刷アイコンをクリックします。印刷アイコンには「×」印のないものとあるものの2つがあります。「×」印付では印刷指示を出してダイアログを閉じます。「×」印なしでは印刷指示を出した後もダイアログを閉じません。結果をみてやり直す可能性があるときは「×」印なしの印刷アイコンを使います。

PDFを作成するときは、「PDF」と書かれたアイコンをクリックします。pdfFactory Proがインストールされていればそれが立ち上がります。

(6)pdfFactory Proを使ったPDFファイルの作成

pdfFactory Proが起動すると図3のpdfFactory Proダイアログが表示されます。表示されたとおりの内容のPDFファイルを作成するのであれば、タスクバーの左から4つ目のフロッピーアイコンをクリックすれば、保存先を指定するファイルダイアログが表示されます。そこで保存先を指定すればそこに生成されたPDFファイルが保存されます。

図3 pdfFactory Proダイアログ

(7)pdfFactory Proによるしおりの自動生成

pdfFactory Proの大きな特徴はPDFの目次に相当する「しおり」を自動生成できることです。それには図3のpdfFactory Proダイアログのタスクバー左端の「三」アイコン(設定アイコン)をクリックして表示されるメニューで「しおり」を選びます。すると図4のような「しおり」ダイアログが表示されます。

図4 しおりダイアログ

ここで「文章中の見出し文字を自動検出して『しおり』を付与する」をチェックし、「デプス」(見出しの階層数)を指定すると、その下の各レベルに「文字フォント+文字サイズ」を選択するプルダウンメニューが表示されます。このプルダウンメニューには、文書で使われている文字フォント・サイズが表示されます。

Sol5(V5-1.0.4)の場合、図4にあるようにデプスを3とし、レベル1を「MS Pゴシック 14.5pt」、レベル2を「MS Pゴシック 13.5pt」、レベル3を「MS Pゴシック 13pt」に設定すると、きれいなしおりが生成されます。

しおりダイアログを閉じて、pdfFactory Proダイアログに戻り、左サイドの「しおり」タブをクリックして下さい。図5のように生成されたしおりの一覧を見ることができます。

図5 生成されたしおりの確認

しおりダイアログでしおりを付与する設定をしておけば、以降に生成されるPDFには同様のしおりが付けられることになります。

(8)生成されたPDFファイル

最後に生成されたPDFのサンプルをお見せしましょう。これらはSol5のメニュー「その他/Sol5の使い方」で表示されるSol5文書から生成されたものです。ダウンロードして比較してみて下さい。

    1. pdfFactory Proによるしおり付PDF
    2. Bullzip PDF Printerによるしおり無しPDF

本文についてはどちらも大差ない出来映えですが、「しおり」があると長文の文章が読みやすくなります。

PDFリーダの標準的なアプリであるAdobe Acrobat Readerでは、しおり付PDFであれば、しおり付で表示されますので分かりやすいですが、Microsoft Edge などのブラウザでは、はじめはしおり無しで表示されますので分かりにくいかも知れません。Edgeの場合は、図6のように画面左上の「目次」ボタンを押すとしおり(目次)が表示されます。

図6 Microsoft EdgeでのPDF目次の表示

ページ番号付PDF書類の作成

アプリケーションの印刷機能を使ってPDF書類を作成するドライバ・ソフトは、有償・無償を問わず多数存在しますが、作成するPDF書類にページ番号表示を追加できるものはあまりありません。そのような中、個人や10人以下の小企業であれば無償で使うことができるもので、この機能を持つものを見つけましたのでご紹介します。それは、Bullzip社のPDF Printerというドライバ・ソフトです。

Bullzip PDF Printer のダウンロード

このソフトは種々のフリーソフト提供サイトからダウンロードできるようですが、私は「Bullzipの正規のダウンロードページ」(https://www.bullzip.com/products/pdf/download.php)からダウンロードしました。英語ページですが、上の方にあるオレンジ色の「Click here to download」ボタンをクリックすれば、ダウンロードできます。

Bullzip PDF Printer のインストール

ダウンロードしたセットアップ・ファイルをダブルクリックで起動すれば、インストールが始まります。はじめに表示される「言語の選択」で日本語を選択すれば、PDF Printer の日本語版を日本語の案内の下でインストールできます。

セットアップ中に「依存関係」という画面が表示され、3つの他のソフトが表示されます。取りあえず使うだけであれば、先頭の「Ghostscript Lite」にだけチェックを入れておけば大丈夫です。それ以外はデフォルトのままでインストールを完了できます。

Bullzip PDF Printer の使い方

PDF化したい内容をアプリケーションの「印刷」を使って出力させます。そのとき表示される印刷ダイアログの「プリンター名」で、「Bullzip PDF Printer」を選んで「OK」ボタンを押します。

これでBullzip PDF Printerの「ファイルを作成」ダイアログが表示されます。「保存」ボタンを押すと、デスクトップに出力内容を収録したPDF書類が作成されます。デスクトップ以外のところに作りたいときは、「保存」ボタンを押す前に、ファイル名の右にある「…」ボタンをクリックして、表示されるファイルダイアログで、出力先のフォルダとファイル名を指定します。

ページ番号の付加

生成されたPDF文書にページ番号が付いていないときは、Bullzip PDF Printerの「ファイルを作成」ダイアログの「透かし」タブで設定します。

図1 ページ番号出力指示の「透かし」設定画面

設定内容は以下の通りです。

テキスト: - <pageno> –
前:            Arial   (フォント設定、無料版では変更不可)
色:            #000000   (黒)
サイズ:      11
アウトラインの幅: 0
回転:         0
垂直の位置: 下
垂直の調整: 3

文字サイズや表示位置は好みに合わせて設定し直して下さい。

テキスト欄はページ番号表示の指示で、この「- <pageno> -」という設定では – 1 -, – 2 -, … のように表示されます。ページ総数も表示したいときは、「<pageno>/<pagecount>」とすれば、1/10, 2/10, … のように表示されます。

設定変更の保存

上で述べた「ファイルを作成」ダイアログでの設定は一回限りです。次回起動したときには前回の設定は残っていません。それでは不便ですので、設定変更を保存する方法を説明します。

Bullzip PDF Printer では、保存された設定をオプションセットと呼んでいます。これを新しく作るには、「ファイルを作成」ダイアログの「一般」タブの「オプションセット」欄をクリックして「<編集…>」を選び、次に「このダイアログの設定をリセットします。続けますか?」と聞かれたら「はい」をクリックします。そうすると「オプション」ダイアログが開きます。

この「オプション」ダイアログは先の「ファイルを作成」ダイアログとほとんど同じ構成です。最初の「一般」タブで保存するオプションセットの名前を決めます。「オプションセット」欄の右にある「…」ボタンをクリックし、表示されたメニューで「新規…」を選びます。「新しいオプションセットを他のユーザと共有しますか?」と聞かれたら「いいえ」で良いでしょう。これで新しいオプションセットを保存するファイルの場所とファイル名を決めるファイルダイアログが開きます。ファイル名は「ページ番号付PDF.ini」ぐらいで良いでしょう。このようにすると、一般タグのオプションセット欄に「ページ番号付PDF」が表示されます。

ついで「透かし」タブを開いて、上で行ったのと同じページ番号付加の設定を行います。設定が終わったら「OK」ボタンを押すことで、オプションセット・ファイルに設定が保存され、「ファイルを作成」ダイアログに戻ります。

これ以降は、「ファイルを作成」ダイアログの「一般」タブのオプションセットで「ページ番号付PDF」を選べば、ページ番号付のPDF文書が作られます。なお、この後の「一般」タブのオプションセット欄には、最後に使ったオプションセットが表示されるようです。

補足:Bullzip PDF Printer に関する情報

このソフトの概要については、窓の杜 のレビュー「透かし挿入や暗号化などの機能をもつ無償のPDF作成ソフト『Bullzip PDF Printer』」(https://forest.watch.impress.co.jp/docs/review/327786.html)をご参照下さい。

インストール方法については、「Bullzip Free PDF Printer のインストールと使い方」(https://eizone.info/bullzip-free-pdf-printer/)が詳しいです。

また、freesoft-100サイトには、「使い方に関する詳しい解説」(https://freesoft-100.com/review/bullzip-pdf-printer.php)があります。

Sol5-1.0.3を公開しました

若干の機能追加とバグ修正を行った新版です。「Sol5ダウンロード」のページからダウンロードしてください。

機能追加

  1. 画面サイズ設定の改良
    ・小さなディスプレイでもはみ出ないように画面サイズ初期値を自動調整
    ・画面サイズ情報を保存し、新しい画面は直前のものと同サイズにする。
  2. URLリンク文字列の日本語向け16進数を日本語で表示
  3. トピック文字列編集中の「貼り付け」を改善
    ・従来の画像貼り付けでは、画像ではなく画像リンク貼り付けになるケースもあったが、画像自身の貼り付けに統一した。この結果、そのコピーは通常の画像ソフトに貼り付けられるようになった。
  4. 検索結果表示マークを消すタイミングを改善
    ・これまで検索ダイアログを閉じると検索結果表示マークが消えたが、今後は検索ダイアログを閉じた後、何か次の操作を指示したタイミングで消すように変更した。

バグ修正

  1. トピック・リンク取得時のバグを修正
    ・「単純文字列でないトピックのリンクは作成できません」というエラーを極力表示しないように修正した。
  2. トピック分割のバグを修正
    ・これまで分割を指示すると行単位に複数の別トピックが作られたが、今後はカーソルの場所で分割して2トピックになるように修正した。
    ・この修正と同時に、トピック分割のショートカットをCtrl+Gに変更した。ただし、従来のCtrl+Shift+Jも互換性のために残した。
  3. 単トピック削除後にトピック構造がおかしくなることがあるバグを修正
  4. コンテキストメニュー「デフォルトに戻す」のバグを修正
    ・この指示ではこれまで余計な改行が追加されていた。

この版のバグが見つかりました(2022.9.21)
対処が容易な軽微なバグですので次の版で修正します。内容は「リンク文字列の変更がおかしい」というものです。